高断熱住宅の健康効果
高断熱住宅への関心が高まっています。断熱リフォームは、温度差解消や結露抑制などメリットの多い工事ですが、住む人の健康にも大きく寄与することがわかってきました。
ガイドラインは室温18℃
WHOが2018年に発表した「住宅と健康に関するガイドライン」によると、居住者の健康を守るために冬の室内温度を18℃以上にすることが推奨され、「特に子どもや高齢者にはもっと暖かい環境を提供するように」と提言されています。
期待される健康改善効果
死亡事故につながる疾患や事故の予防
高断熱住宅では、家庭内での死亡原因として多い入浴事故と転倒を減らせることがわかっています。居間と脱衣所の温度差が大きい・または居間と脱衣所どちらも寒い(18℃未満)家では、居間と脱衣所がともに温かい(18℃以上)家と比べて、事故につながる危険な入浴をする人が1.8倍も多いそうです。また室温18℃の家では転倒の原因となる「つまづき」が半減することもわかりました。
生活習慣病の改善
調査によると、温かい家に住むことで、高血圧性疾患や循環器系疾患の減少、悪玉コレステロールや中性脂肪などの血中濃度の低下、夜間頻尿の発症抑制などの効果が認められています。
日常生活への好影響
断熱改修により、風邪をひく子どもが約4割減り、女性では月経前症候群(PMS)が3割減、月経痛は5割減になるという結果が出たそうです。また、断熱等級の異なる部屋で単純な計算問題などを解くテストをしたところ、断熱等級の高い部屋では最もミスが少ない結果となっています。
介護予防・認知症予防
最新の解析調査によると、冬期の居間の室温が1℃上がると脳神経は2歳若く、5℃上がると10歳若く保てるといいます。その他の疾患のリスクの減少も含めると、温かな家に住むことで健康寿命が伸び、介護予防、認知症予防にも効果があると推測できます。
理想の断熱水準は北海道レベル
家の中の室温が日本で最も高いのは北海道で、居間の平均室温は21℃、冬期死亡増加率は日本で最も低くなっています。これから断熱改修を検討されるなら、北海道で推奨されている断熱等級6を目安にすると良いでしょう。北海道の住宅では、内断熱と外断熱の2つの断熱工法を組み合わせるダブル断熱がかなり普及していますが、コストパフォーマンスが高いのはやはり窓の断熱でしょう。窓で多く採用されているのは、複層ガラス・トリプルガラスを用いた樹脂サッシ窓となっています。
断熱等級6以上の改修は、コストが大きくかかることも懸念されますが、その後に削減できる光熱費や医療費のことを考えると、リーズナブルと言えるかもしれません。長い目でみたトータルコストを視野に入れてリフォーム計画を立てていくのがおすすめです。