インテリア   インテリアコラム

ずっと使い続ける、私だけのキリム

遊牧民が作る美しい敷物

富山県のインテリアを扱うショップにお話をうかがうインテリアコラム。今回はAriana Kilim & Art Galleryのマルフィーさんに、イランの伝統織物として有名な「キリム」の魅力について教えていただきました。

母から娘へと伝える世界に一枚の美しい織物

日本と同じように四季がある国、イラン。国土が広く、海も山もある自然豊かな国のため、それぞれのエリアによって変化に富んだ風土があり、さまざまな遊牧民の部族が暮らしています。その遊牧民の暮らしのなかで、キリムは敷物や間仕切り、穀物袋などに使われた生活用品のひとつ。

キリムの作り方は、母から娘へと伝えられる手仕事のため、すべてオリジナルデザインで、一つとして同じものはありません。遊牧民ごとに特徴があり、先祖から伝えられてきたモチーフや基調とする色はありますが、それらをどのように使ってデザインするかは織り手次第。現在でも、部族ごとのオリジナリティあふれる模様が受け継がれ、自然や生命への愛にあふれた美しい織物に世界中に愛好家がいるほどです。

流行に流されない私だけのキリムを探そう

素朴で味わい深い平織のキリムは、シンプルなものから、刺繍を施したり、飾り糸を織り交ぜたりと、複雑な細工を施したものまでさまざまな技法が伝えられていますが、基本となる材料や作り方は変わりません。まず、羊毛やコットンなどを手で紡いで、身近にある自然素材で染めて着色し、糸を作ります。次に木枠に張った縦糸に、染めあげた糸を交互に通して美しい模様を織りなしていきます。このようにいくつもの工程を経て織り上げられた質の高いキリムは、年月が経つごとに色合いの美しさが増していきます。これまで長く愛され続けてきたキリムは、いわゆる「流行」がないために「ずっと使い続けられるもの」として、日本のインテリアにも溶け込みます。

実際にインテリアで使うときは、家具や床の色とのコーディネートも考えますが、何よりも一人ひとりの好みや感性で選ぶことが大切。自分や家族の思い出を刻む「私だけのキリム」を選んでみてはいかが。

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